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「政府保証事業」とは?

政府保障事業とは、ひき逃げや無保険車による事故のために自賠責保険の救済が受けられない被害者に対して、政府が被害者の損害を填補する制度です。

自賠責保険では、ひき逃げ事故などで加害車両の保有者が明らかでない場合や自賠責保険に付保していない無保険車による事故、あるいは盗難車による人身事故で加害車両の被保険者以外の者に損害賠償責任がある場合(自賠法第 10 条の適用除外を除く)の被害者は救済されません。そこで、そのような被害者は、政府保障事業により救済が図られます。(自賠法71条~82 条の2

自賠責保険との違い

政府保障事業での支払限度額は自賠責保険と同じですが、以下のような点で自賠責保険とは異なります。

  1. 請求できるのは被害者のみで、加害者は請求できません。
  2. 傷害と後遺障害の請求権者は、被害者、死亡の請求権者は法定相続人及び遺族慰謝料請求検者(被害者の配偶者、子及び父母)です。
  3. 健康保険、労働災害補償保険などの社会保険からの給付があれば、その給付分を差し引いた不足分について支払われます。
  4. 仮渡金制度はありません。
  5. 複数車両の共同不法行為の場合、自賠責保険は車両ごとに請求できますが、政府保障事業の場合は車両ごとに請求することはできません。
  6. 時効中断制度はありません。公法上の権利と解されているため、裁判による時効の援用は必要なく、保障請求権は自動消滅します。
  7. 請求権者と賠償責任者が同一生計に属する親族間の事故で、賠償責任者が死亡して請求権者が相続の放棄又は限定承認をした場合、例外的に損害の填補がされますが、同日以前に生じた事故の場合は、運用でその額は2分の1とされています。
  8. 被害者が既往症等を有していたため、死因又は後遺障害発生原因が明らかでない場合などで受傷と死亡との間及び受傷と後遺障害との間との因果関係の有無の判断が困難な場合は、死亡による損害および後遺障害による損害について、積算した損害額が限度額に満たない場合には積算した損害額に、限度額以上となる場合には限度額に5割を乗じた額の減額を行います。

提出書類

請求には、以下1~7の事項を記載した書面にア~ウの書面を添付して行います。

  1. 請求する者の氏名及び住所
  2. 死亡した者についての請求する場合には、請求する者の死亡した者との続柄
  3. 自賠法72条1項後段の規定により請求する場合には、加害者の氏名及び住所
  4. 同項の規定により政府に対し損害の填補を請求することができる理由
  5. 当該自動車の自動車登録番号もしくは車両番号、標識の番号又は道路交通に関する条約の規定による登録番号(これらが存しない場合は、車両番号)が明らかである場合にはその番号
  6. 他の法令に基づいて同項の規定による損害の填補に相当する給付を受けるべき場合は、その給付の根拠及びその金額
  7. 請求する金額及びその算出基礎(診療報酬の請求に係る明細その他損害額の内容及び根拠を明示)

ア診断書又は検案書

イ上記2~4及び6の事項を証するに足りる書面

ウ上記7の算出基礎を証するに足る書面

 具体的には、以下の書面を用意することになります。

①自動車損害賠償保障事業への損害の填補請求書

②請求者本人の印鑑証明書

③交通事故証明書

④事故発生状況報告書

⑤事故発生状況報告書

⑥診断書

⑦後遺障害報告書(後遺障害の場合)

⑧死亡検案書又は死亡診断書(死亡の場合)

⑨診療報酬明細書

⑩通院交通費明細書(傷害と死亡の場合)

⑪健康保険等の被保険者証コピー(傷害と死亡の場合)

⑫戸籍(除籍)謄本(死亡の場合)

⑬休業損害証明書(給与所得者の場合)

⑭振込依頼書


時効

政府保障事業に対する請求権の時効は3年(平成22年4月1日以降に発生した自動車事故について)で、政府保障事業に対する請求権が公法上の権利と解されているため、時効の援用を必要とせず自動的に消滅します。

 時効は、傷害については事故発生から、後遺障害については症状固定から、死亡については死亡の時から起算されます。


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